23. 「めいどいんへぶん」 by 翼嶺さま


「天国に連れて行ってやるぜ」

麦藁海賊団の金髪のコックの言動は、時々、同じ海賊団の剣士の常識の範疇を越える。
今もそうだ。寝ていた所を蹴り起こされ、『飯か?』と思えば、目の前でするりとネクタイを
解き始めた。完全に覚醒し切れていない思考のまま、解いたネクタイで嬉々としながら、
コック、サンジは、剣士ゾロの両腕を頭上でひとつに纏めて縛った。

「!っ、てめぇ、なんのつもりだつっ?」
「そのネクタイ、5万したお気に入りだ。引き千切りやがったら倍返しして貰うぞ」

呆けたまま、腕を拘束され、漸く我にと返り、ネクタイを引き千切らんばかりの勢いで怒鳴
って来たゾロに、サンジは冷やかに返事を返した。
それでなくとも、ナミより理不尽な負債を抱えさせられているゾロは、サンジの言葉に舌打ち
すると、眉間に深い皺を寄せた。

「まあ、そんな脅えたツラすんな」
「誰が脅えるかつっ?! …で、なんのつもりだ?」
「だーかーらー天国に連れて行ってやるって…」

にーっと笑うと、サンジはゾロの目の前で、景気良く服を脱ぎ捨てた。

両腕を拘束されたとは言え、その相手は曲がりなりにも同じ船の仲間だ。
常日頃、喧嘩しかしない相手とは言え、命に関わる事はないだろうと思うほどには、サンジ
の事を信用していた。だからサンジが、何をする気なのか、何をしたいのか、ゾロは傍観
を決め込んだのだが…
ホイホイと、なんの躊躇いも羞恥もなく、サンジはゾロの眼前で全裸となった。
男の裸なんか珍しくもないし、サンジの裸も何度か目にした事はあったが、こんな日中に
船尾で全裸になって何がしたいのか、ゾロにはさっぱり判らなかった。

「…露出の趣味でもあったのか?」
「あるかつっ! そんなもん!! …てめぇは兎に角黙って見てろ」

そう言い返すと、サンジはぺたりとゾロの前にと座り、一瞬躊躇った後、M字に足を開いた。

…何をする気なのか…さっぱり判らなかった。と言うか、何時か昔、場末の酒場でこんな感じの
ショーを見たのを思い出したが、果たして…見たショーさながら、ゾロの目の前、サンジはその指
先にオイルを垂らし、自慰を始めた。
それも性器には触れず、その奥の後孔に指を入れての自慰だ。

…珍しいやり方だな…

感心しながらも、他人の自慰を見続ける趣味のないゾロは、中断させられた惰眠を貪る為に、瞼を
閉じた。

「っ…の…寝るんじゃねぇよつっ! の…タコっ!」
「あん?」

片目だけ開き、ゾロはサンジを見る。後孔には指が3本埋められ、オイルに濡れたそこから、なんと
も淫靡な音が鳴っていた。

「も、少しだから…」

何がもう少しなのか、イク所を見ろとでも言っているのか? そんな事をぼんやり考えていたら
サンジが目の前にと擦り寄って来た。

「あ? 終わったのか? だったら早くこれ解け」
「阿呆ぅ。これからだ」

言うとサンジの掌が、ボトムの上からゾロの股間を触った。

「ちっ、全然勃ってねぇな…ま、仕方ねぇか…」

ぶつぶつ呟くと、サンジの指は、ゾロのボトムのファスナーを開いた。

「おいっ、てめぇ…」

ぎよっとするゾロに視線も上げず、サンジは勝手に取り出した、ゾロの性器をはむりと咥えた。
逃げを打とうにも、股の間にしっかりサンジが嵌り込み、その上、両の太股を両手でしっかり
押さえ込まれて、尚且つ、急所を咥え込まれている為、ゾロは身動きが取れなかった。
ぺちゃぺちゃと、拙く舌を動かしながら、サンジの頭が上下に揺れる。
金の髪に滑らかな白い肌。それはゾロの視覚を捕らえた。
19の健康体の青年だ。
暫く、自身で扱いてもいなければ、誰かの中にも出していなかったと不意に思い出すと、サンジ
の、拙い男の口淫にすら、ずくりと血液が集まっていくのを感じた。。
曲りなりにも仲間相手に…と言うか、実はゾロはかなり前よりサンジの事を『惚れてるかもな』と
漠然とながら自覚していたが、相手は超が着く程、過剰な女好きだ。端から諦めていた。

後もう少しでイケそうなその瞬間、サンジはそこから顔を離した。
唾液で濡れた唇を、手の甲で拭いながら、隆々と硬く勃ち上がったゾロの性器を確認する。

「よし」

なにが「よし」なのか、ひとり勝手に頷くと、サンジは自分の指に再度オイルを垂らし、そのオイルで
濡らした指を再び自分の後孔に入れ、ぐじゅぐじゅと鳴らした。

「…おい」
「待ってろ…直ぐだ」

勝手に昂められ、放置された事に焦れたゾロに、サンジは短く返事を返すと、意を決した様に、
待ち侘びている性器の上にと跨った。

「お、おいっ…ちよっ…」

流石に何をする気が悟ったゾロは、らしくもない焦った声を上げる。

「動くな!…」

息を深く吐きながら、タイミングを計る。

「っ…ん…ぱ…でけぇ」
「お、おいっ…てめぇ…ホモだったんか?」
「誰がホモじやつっ!」

怒鳴り付けた瞬間、ゾロの砲身の先端が後孔にぐぷりと飲み込まれた。

「!!」

声にならない悲鳴が、サンジの咽喉を突いた。

「てめぇ…今、動いたら…ぶっ殺すぞ…」

ドスを効かせた声を発し、全身に脂汗を滲ませながら、サンジは何度も息を付きながら腰を
下ろして行く。

「っ…あんっ」

ぴたっとサンジの臀部がゾロの股間にと嵌った。

やばっ…すっげぇ気持ち良い…。

狭い入り口が、ゾロの性器をぎゅうぎゅうに締め付けてくる。そしてその奥は、しっとりと温かく
ひくひくと襞を震わせていた。その感触はゾロにと快感を与えた。
ゾロの上にと乗っかり、数度息を整えると、サンジは下唇を舐めながらゾロを見つめ、笑んだ。

「どうよ俺ン中は? …イイか?」
「ああ…悪くねぇな」

ゾロの素直な応えに、サンジは笑みを深くした。

「んじゃあ、天国連れて行ってやるぜ」

そう告げると、自ら抜き差しを始める様にサンジは身体を動かし始めたが、その余りにも拙い
動きに、ゾロは苦笑を漏らしそうになるのを耐える。

「おい…なんで俺を天国に連れて行く気だ?」
「っ…」

漸く、サンジの言う『天国』を悟り聞いた言葉に、サンジの動きがぴたりと止まった。
それに対して、ぐんとゾロは腰を突き入れた。

「!!」

瞬間、サンジの身体が仰け反った。

「っめぇ…何、動いて…」
「だから言えよ…なんのつもりで俺にケツ貸してんだ?」

つんつん、と続け様にサンジの中にとに嵌った性器を突き動かす。

「なんって…」

真っ直ぐに射抜いてくるゾロの視線に、サンジの視線が泳ぐ。

「さっさと吐け」

止まったサンジを促す様に、ゾロは腰を突き動かす。

「なっ…てめぇ、動くな…」
「あ? てめぇが止まっているから動いてんだろう? 女好きのエロコックが、なんで俺にケツ貸して
いるのか…それともなんかの罰ゲームか?」

言いながら、中の感触を愉しむかの様に、ゾロは動いた。
ゾロにしてみれば『カモネギ』ではあるのだが、まんまと乗っかり後で嘲笑われ、ネタにされる
のだけは、真っ平だった。だから、全ての理性と忍耐力を総動員して耐えていたのだが、惚れ
てる相手に性器を舐めしゃぶられ、その上乗っかられたりしたら、それなりには愉しませて貰おう
と思った所で、罪にはならないだろう。

「ひっ…」

過剰に返って来た反応に、ゾロはサンジのイイ箇所に当たった事を悟り、そこを攻め出した。

「っ…や、てめぇ…調子に乗ってんじゃ…ねぇ…あっ」

切れ切れに講義する言葉の合間に、嬌声が漏れる。

「女好きはホモを隠す為の演技か?」
「ホ、ホモじゃねぇって言っただろうが! …ん、あっ…もう、動かす…な…」
「そりゃ無理だ。てめぇの中、悪くない所か、好過ぎる。…」
「え? 本当か?」

ゾロが正直に告げた言葉に、サンジは安堵の表情を浮かべた。

「だったら…好きにしろ」
「好きにって…本当にてめぇどう言うつもりだ…?」

サンジの言動に、ゾロはますます混乱する。
疑心暗鬼になりながらも、惚れてる相手の中は好くて動きを止める事が出来ない。
それがサンジの性感帯を煽り捲くっているらしく、サンジの吐息に甘さが増して行く。
快感に潤んだ蒼い瞳。無意識の内に何度も舐めている唇は赤く濡れ、白い肌は上気し、ほんのり
ピンクに染まって行く様は、視覚にクル。

堪んねぇなぁ…このまま、中に射してえなぁ…

なぁんて物騒な事を思いながらも、それでも最後の一線を耐えながら、動き続けた。

「おい…ちゃんと言えつっ!…」

同じ男だ。弱い部分は熟知している。
覚えたサンジのイイ箇所を、ゾロは執拗に攻め立てた。
サンジの性器からは、先走りが溢れ止まらなかった。

「イキてぇなら、白状しゃがれ」

耳元で囁くと、潤んだ瞳がきっと睨み付ける。

「あーもう、なんでもイイだろうがつっ! 惚れてんだよつっ! ど、どうせてめぇは俺が嫌いだろう?
だったらせめて一回だけでも、思いを遂げさせやがれつっ! 初物だつっ! 美味しく喰いやがれつっ!」

真っ赤な顔して、半ばヤケクソ、半切れ状態の告白に、ゾロの中の何かがぶちっと切れて、ついでに
サンジお気に入りの5万のネクタイもぶっちり切れた。

「あっ…てめぇなにしやがるつっ!」

抗議の声を無視して、ゾロはサンジの上にと覆い被さった。
繋がったままの箇所がより深く繋がり、サンジは仰け反る。

「ややこしい、面倒クセェ事やってんじゃねえよつっ!」

何故か怒りながらも、ゾロは自由になった両手でサンジの肌を弄る。

「わりぃが、一回で終わらせる気はねぇぞ…」
「はぁい?」

形勢逆転を身を持って体感しながら、サンジは突如摩獣化した男を目をぱちくりとしてみつめた。

「てめぇは人がどんだけ忍耐力を集結してたと思ってやがんだつっ! 女好きと思って、端から諦め
てたんだがな…」

きょとんとし続けているサンジにゾロはにっと笑う。

「惚れてんのは、てめぇだけじゃないって事だ…天国に連れて行ってやるぜ…」

笑みを深くし、ゾロはサンジの唇に噛み付く様なキスをした。

サンジの宣言通り、ゾロは天国を思う存分堪能した。サンジは本当の意味で、天国を見た。
そして、その天国は、今尚継続中。









誘い受けサンジ! サンジが主導権取ってた筈なのに、いつのまにかゾロ主導! 
こういうゆるさも、ゾロ縛って自慰を見せちゃう玉砕覚悟も、どちらもホント愛らしいvv
ゾロったら、サンちゃんの痴態にぜーんぜん反応無かったから脈無しなのかと思ったんですが、ちゃんと惚れてたんですねーー! このポーカーフェィスめ!!(^^)  翼嶺さま、ハッピーエンドが嬉しいSSをありがとうございました!