小正月


旧暦一月十五日(新暦二月下旬頃)
「小豆の赤色が魔除けだから小豆粥を食うってのはわかるが、なんで赤色が魔除けになるんだ?」
と青鼻先生が尋ねれば、
「さあなぁ、考えたこともねェや」
とウソップが答える。
「おめーら、なーに小難しいこと言ってんだ。いいじゃねェか美味けりゃ」
と言うのはルフィ親分。
米と小豆を一緒に炊いて塩をちょっぴり加えた小豆粥は、ほっこりまろやかな味わいでルフィ親分じゃなくてもおかわりをしたくなる。

「今日は坊さんが一緒じゃねェのかサンちゃん」
七種の日にゾロと一緒に『風車』に出勤して冷やかされたから今日は置いてきた。
それなのにまた、からかわれた。
一緒に来ても冷やかされ、一緒じゃなくてもからかわれる。ならばいっそ一緒にくれば良かったと思う。
悔しいから言ってやる。
「余分なことを言う奴は、小豆無しの粥にしてやんぞ!」
「そりゃあ勘弁してくれよ。魔除けになんねェじゃねーか」
そのやり取りにほかの客がすかさず茶々を入れた。
「おめーんとこは魔物よりも嫁ぁ(かかぁ)のほうが怖ェだろうが」
「違いねェ!」
『風車』は今朝も笑いに包まれた。


(了)



(2013.01)
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