TEXT by 翼嶺様 / ILLUST by 恋川珠珠


…雨宿りの場所を探していた筈なのに…。

こんな路地裏で何をやっているのだろう?

寄航した街で、別々に過ごすのは何時もの事。
偶然、街中で出会うのも何時もの事。
何ひとつ変わった事などなかった…。
…ただ、雨が降っているだけ…。

互いに雨宿りの場所を探し、街中で偶然出逢い、
視線が絡み合った瞬間、
一瞬早く腕を取られ、路地裏にと引き込まれた。
どちらが先に伸ばしたのか、
強く抱き合い、唇が重なった。

何を、やっているのだろう?
こんな関係じゃない筈なのに…。

濡れたシャツが肌に纏わり付いて、気持ち悪いのに
互いの体温を確かめ合う様に、尚もきつく抱き合い、
唇を貪りあっている。
顎の線を伝い流れ落ちる雫は
雨粒なのか、それとも…

雨が降っているだけなのに…。

ここはまるで深海の様に
聴こえて来るのは、重なり合っている
胸の鼓動と、
互いの吐息だけ…



翼嶺様が、拙絵「雨に抱く」に素敵なSSをつけて下さいました!

翼嶺様は、ワンシーンを切り取ったようなSSがお得意で、この文章も非常に絵画的です!
雨がとても効果的に表わされていて、降りしきる雨の音が聞こえてくるような気がしました!
その雨に囲まれて、この二人ったらお互いのことしか感じてないんだわ〜〜vvv
なのに「こんな関係じゃない筈…」なんて思ってるの。
素直じゃない心と冷たい雨と熱い身体…この組み合わせがたまりません!

翼嶺様、素敵な作品をありがとうございました!! 

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