2012,11,10-2012,11,11 vol.4/7

ぐう様


4. 11月10日 夜



「負けたの?」
ああ、あの黒髪のおねいさんだ。たしぎさんだっけ。
「ああ」
あ、ゾロ。なんだよ帰って来てんのか。
「次は負けねぇ」
なに言ってんだ?
「お仏壇に報告は?」
お仏壇って?なに言ってるの?たしぎさん。
「もうした」
ゾロの声がする方向へ首を捩る。
今何時だろう。お座敷で座布団まくらに寝転がってるのはわかった。
体がすごくだるい。どんだけいい酒でもたくさん飲めば潰れるぜ。オレ、アルコールの許容量低いんだって。
寝転がった目の前にゾロの背中が見える。
ぼんやりとその背中を眺める。
ゾロの向こう側に先程まで自分が座っていた座卓。遅い晩ご飯食ってんだな。座卓の向こう側ぐらいの遠さでたしぎさんの声がする。
「ご飯おかわりは?」
と聞くたしぎさんに、うん、と返事をしている。
そのやりとりを聞きながら目を瞑った。

何してんだオレ
京都まで来て
なにしてんだ
ゾロ、おまえは何考えてんだ
明日、いやもう日付かわってたら今日。
おまえ誕生日なんだろ。プレゼントにオレが欲しいんだろ
何でオレは今ここでおまえと女の子の夫婦的な会話を聞かなきゃなんねぇんだ
なんだ決闘って。なんだ仏壇って。
なんだよゾロ
何してぇんだよおまえ。