淫獄のプリンス   #1 発覚



その日、私はクロコダイル様から新しい仕事を仰せつかりました。それは、特殊で非常に内密な仕事でした。そんな大事な仕事をわたくしに任せてくださったとは、これまでの私の堅実な仕事ぶりが評価されたに相違ありません。私はこの任を仰せつかったことをとても光栄に思い、クロコダイル様に大変感謝しました。

さて、クロコダイル様は私に、直々(じきじき)に新しい仕事を教えてくださいました。まずクロコダイル様は私とボディガードのみを連れて館の奥へと案内してくださいました。本当はクロコダイル様は、大層お強いのでボディガードなど要らないのですが、ボディガードを引き連れておくことは、自分の強さを必要以上にアピールしないためだそうです。「能ある鷹は爪を隠す」という言葉が私の頭に浮かびました。聡明なクロコダイル様にぴったりです。

おっといけません、話が逸れました。元に戻しましょう。

クロコダイル様は館の奥の部屋に入り、そのまた奥の奥の部屋に入りました。そこは小さな部屋でしたが、調度品もシャンデリアも年代物の豪奢なもので埋め尽くされた、贅沢な部屋でした。その左の壁にブロンズ色の板が埋め込まれており、クロコダイル様はそこに手をあてるようにと私に仰いました。

仰せのとおりに手を当てると、板の隣の壁が音も無く、すぅっとスライドし、地下に続く階段が現れました。びっくりしたまま動きの止まった私にクロコダイル様は「おまえの手を識別するように設定してある」と仰いました。どうやらこの地下に私の仕事はあるようです。

階段を下りていくにつれ、空気が重く、シンと冷えていくのがわかります。冷気なのかその場の雰囲気のせいなのか、私はブルっと身震いをしました。

階下につくと通路が3方向に伸びていました。その中央の通路を進んだ先に、バレーボールコートくらいの空間がありました。さすがに私もごくりと唾を呑みました。新しい仕事が、このたび捕らえた間諜…平たく言うと「スパイ」です…の世話だとは聞いておりましたが、クロコダイル様は正義を邪魔する悪漢には容赦がありませんから、いかにも地下室めいた石造りの壁には、鎖や鞭や、鋲のびっしりついた恐ろしげな器具などが並んでおりました。

その奥の壁に、クロコダイル様を陥(おとしい)れようと計った憎き間諜が捕らえられておりました。手首足首にそれぞれ枷をはめられ、鎖で壁に縫い止められております。クロコダイル様の後に続いて近づいてみると、まだ若い男のようでした。縁のついた眼鏡をしているため表情や顔立ちはわからないのに「若い男」だと感じたのは、その身体ゆえです。戒める鎖で四方に広げられた四肢はのびやかで、細く締まったからだつきから若さが感じられたのです。牢の暗がりの中でも、ぼおっと髪が光っておりました。陽の光のもとで見たら、大層明るい金髪でありましょう。

「この部屋の居心地はどうだね、Mr.プリンス」
そうクロコダイル様は男に向かって仰いました。

「ちっとエアコンが効きすぎてらぁ、クソワニ。」
怖気づくこともなく男が言いました。クロコダイル様に対して、なんて無礼な態度でしょう。

それにしても!
『Mr.プリンス』と言えば、数日前まで、バロックワークスの幹部だった男ではないですか!

クロコダイル様のプロジェクトに役立つ、数々の優秀な戦闘員の中でも、幹部になれるのは、わずかに20名足らず。女性幹部は、Missマンデーだのバレンタインだの日にちにちなんだコードネームを、男性幹部は、Mr.1・2…というように数字を配したコードネームをいただくものと決まっております。ところがその中で、破格の扱いで、数字でなく『プリンス』のコードネームを使うことを許された男性幹部――それが『Mr.プリンス』だったはずです。

幹部のお顔を拝見する機会はハイレベル戦闘員でない限り無いに等しいので、私はこの男が、我がバロックワークスの幹部だった『Mr.プリンス』なのか確認しようもありません。でも、この男がまさしく『Mr.プリンス』なら、なるほど、先ほどからクロコダイル様を包んでいる憎悪にもにた冷たい怒りに合点がいきます。自分が見込んで特別扱いをした男が、あろうことか自分を陥れる者だったのですから。

決して赦さない、クロコダイル様の目がそう語っておりました。







さて、クロコダイル様はまず鞭を手になさいました。びゅんと唸りを上げた鞭がビシリとMr.プリンスの身体を打ち付けます。クロコダイル様の大きな身体から振り下ろされるのですから、その鞭は被服だけでなく皮膚を容赦なく裂きました。左肩から斜め下へと走った鞭痕から、ふつふつと赤い血の玉が出て膨らみ、やがてMr.プリンスの身体を滴っていきます。二度目はMr.プリンスの身体に×をつけるように右肩から鞭が振り下ろされました。その後も続けて容赦なく鞭はしなり、それでもMr.プリンスは唇を噛み締めたまま呻き声すらあげようとしません。

そんなMr.プリンスの様子に、クロコダイル様は早々に鞭を投げ捨てました。
「おまえには苦痛を与えても無駄のようだな」

クロコダイル様は、そう言うが早いか、鞭で裂けたMr.プリンスのズボンを剥ぎ取り、下肢を剥き出しになさいました。上半身に、血の滲んだボロボロのシャツを纏うだけの姿にされて、さすがにMr.プリンスも一瞬顔色を変えました。その一瞬の動揺にクロコダイル様は大層満足されたようでした。

「まずはおまえの身体を確かめさせてもらうとしよう」

ねっとりとした声でMr.プリンスにそう囁くと、Mr.プリンスの首に引っ掛かっていたタイをほどき、それでMr.プリンスの根元を固く縛りました。そしてあの大きい手で深く浅くしごき始めたのです。

Mr.プリンスは嫌悪感に引きつった表情をしておりましたが、瑞々しい若い肉体が直接性器に与えられる刺激に無反応でいられるはずはありません。ゆるゆると立ち上がり、カリ首は次第にえらを張るように広がってまいりました。その広がったカリ首の縁に沿うように、クロコダイル様の手が繰り返し撫でていきます。固く目を閉じ、奥歯を噛み殺すようにして耐えていたMr.プリンスでしたが、クロコダイル様の指が鈴口を、押し広げるように刺激したとたん、くっと激しくのけぞって悶えました。クロコダイル様が、そのまま、その敏感な部分をしつこく愛撫していると、やがてそこからトロリと透明な液体が溢れてまいりました。クチクチと弄られる感触が次第に滑っていくのは目を閉じていてもわかるものです。Mr.プリンスの身体が恥辱に慄くように震えました。

「思ったとおりだ。おまえは肉体的痛みよりも辱められるほうが苦痛と感じる生き物なのだ。そうとわかれば、たっぷりと嬲ってやろう」

クロコダイル様の手は淫嚢にかかり、その中のうずらの卵のような塊をぐりぐりと刺激します。Mr.プリンスがふるふると頭を振るたびに、金糸が奏でるように揺れます。クロコダイル様の手は、強く弱く淫嚢を揉みしだいたあと、さらにその奥の秘所へと伸びました。びくりと身体を奮わせたMr.プリンスは、身を捩って逃れようとしましたが、四肢をがっしりと鎖で拘束されているのですから、逃れられるはずがありません。

自分が流した先走りの液を後門の襞に塗り込められて、滑りの良くなったそこにクロコダイル様の指がずぶりと埋め込まれました。侵入してしまえば優しくする必要などないというかのように、クロコダイル様は指で一気に奥を突いたようです。鞭を繰り返しあてても呻き声すら漏らさなかったMr.プリンスが、初めて「ヒッ…」と小さく悲鳴を上げました。が、そのあとはまたぐっと唇を引き結んで、グリグリと内壁をえぐられるおぞましさをこらえていました。そのMr.プリンスが、突然、バネが跳ね上がるように、身体全体をピンと張りました。

「ここか」
宝の在りかを探し当てたようにクロコダイル様が高らかに宣言し、Mr.プリンスのスウィートスポットを太い指の腹でぐりぐりと責め立てます。

「うあっ!!!」
堪らずMr.プリンスが声を上げました。

「うっ…あ、あ、……はっ…」
射精のポイントを直接刺激されて、噛み殺そうとしても喘ぎ声が抑えられないようで、今まで押し殺してきた甘い吐息がMr.プリンスの口から溢れ落ちてきます。反り返るように屹立したからもドクドクと透明な液体が溢れ出してきます。見開かれた瞳からは涙が零れ落ち、その雫が首筋を伝う刺激さえも彼を狂わしていきます。無理矢理絶頂へと追い立てられて、Mr.プリンスの腰が放出を求めて淫らに揺れます。それでも終わりは決して与えられません。

「ひいぁっ…はっ…えぐっ…」
涙で潤んだ目元を満足にそうにクロコダイル様は見つめました。そして、解放を求めて嗚咽するMr.プリンスに問いました。
「どこの組織の者だ?」

「…な…んのこ…とだか…わ…から…ねェ…な……」

気丈にも、Mr.プリンスは、そう返しました。それを聞いてクロコダイル様はくくくとお笑いになりました。
「いい返事だ、Mr.プリンス。それでこそ嬲り甲斐があると言うものだ」
そうおっしゃると、ボディガードに、Mr.プリンスの前を銜えるよう、と命令しました。ズッポリと銜えこまれて、さらなる刺激がMr.プリンスに与えられます。
「やめろっ…うっ…あうっ……」
じゅぼじゅぼと淫猥な音が響きます。淫嚢も揉みしだかれております。クロコダイル様は後門に3本目の指を埋め込み、紅い実のように固く熟した胸の飾りを大きな舌でべろりと嘗めました。淫靡な責め苦はいつまでも続き、底無しに高められていく快感と果てしなく続く絶頂感に苦しむMr.プリンスの身体はビクビクと震え、瞳は焦点を結ばず、あ、とも、ひ、ともつかない、高い悲鳴が地下室に延々とこだましておりました。







そして翌朝、昨日のことは序章にすぎなかったといわんばかりに、拷問道具というよりSM道具と呼ぶほうが相応しい、いかがわしげな道具や器具が地下室に運び込まれたのでした。



(#1発覚/了)




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あー、始めちゃいました、監禁小説…。
ストーリー展開はありません。道具などであれこれ嬲られる記録が、気の済むまで細々と続いていく予定です。
って、続けていいのかしら? 引かれてないといいなぁ…。