修羅の贄 #10
見届けてあげないのですか、とロビンが聞いた。
「何をだ? あんなものを尻にぶちこんでよがり乱れる恥知らずな畜生をか?」
「それを強いたのは殿ではありませんか! それに二人きりにするのはどうかと…」
「鳩殿は隙を見せぬ方だ。初見の者に急所を触れさせることなどしない」
言いながら自分に言い聞かせている自覚はある。
「確かにそのとおりです。けれど人の心に絶対はありませぬ」
それもわかっている。
どれだけ油断無く任務を遂行する者であっても、どんな出来心が働くかわからない。
だからこそ、後ろ以外もすべて、鳩より先に俺が奪ってしまおうと思ったのだ。
鳩の口に含まれる前に俺が。鳩のものを口に含む前に俺のものを。
だが、その優越は脆いものだった。
鳩の手管で悶えるサンジを見ていると、自分が先鞭をつけたことなどなんの意味も無く、瞬く間に鳩の色に染め替えられいく様を見るようで、とても見届ける気になどならなかった。
それは己の国の立場を見せ付けられるようでもあった。
ロロノアの国は裕福ではない。100年ほど後には林業で栄える国となるのだが、ロロノアの代には、ただ貧しい小さな山国でしかなかった。
山肌にへばりつくようにして作られた棚田は、国の民を飢えさせないのが精一杯。米の収穫量が少ないのを補って、畑の作物は蕎麦、豆、芋など主食に変わるものが中心で、城主の食事であっても慎ましいものだ。
そんな中でわずかずつ蓄えてきた国庫は玻璃城を攻め落とすことに使い果たしてしまい、すっからかんだ。ここで更なる戦は起こせない。殿上人に歯向かうことはできぬ。気に入らぬ要求でも受け入れざろう得ないのだ。
たとえ鳩より先にサンジの隅々を奪っていても、鳩がサンジに対して一線を越えなくても、ロロノアは敗北感を感じずにはいられなかった。
「橘殿…」
疲れ果てた身体を慰めるように撫でられた。
その手をサンジはとっさに払っていた。ロビンの手だとわかっていても、止めようが無かった。
それほど自分の浅ましさへの嫌悪で余裕が無かった。
悦楽に飲み込まれた自分を見るロロノアの視線が痛かった。
ロロノアが去ったのも気付かないほど我を忘れていた自分が忌々しかった。
支えようとしたギンの手も振り払って、自分の足で離れに帰ることだけが、自分の意地だった。
久しぶりの大雨は3日続いたが、鳩は天気の回復を待つこともせず、雨の中を発っていった。
もとより無駄な逗留をするような性格ではない。さらにこの山国では地盤が緩む雨上がりのほうが馬を走らせにくいと判断したのだ。
3日ぶりの太陽は、潤いを得て息を吹き返した自然と穀物を眩しく輝かせる。城内は主人の帰還と相まって一気に活気を取り戻した。
その中で、離れだけはひっそりと静まりかえっていた。
あの晩、鳩は、ロロノアの言うように一線を越えることは無かった。だがそんなことはなんの慰めにもならない。鳩の手技に溺れて悦楽に取り込まれたのは変えることのない事実だ。
そんな自分をどれほど嫌悪したか。
ロロノアはあの夜から離れを訪れない。見限られたのだと思う。
「殿は今、お忙しいのです」というロビンの言葉はうそではないだろう。
このところの城内の落ち着きの無さは離れにいても感じられるほどだ。
だが、帰国したその当日に離れを訪れたあの激しさが残っているなら、サンジを放っておくはずがない。
鳩に溺れた自分を嘲るでも罵るでも良かった。ただロロノアが来てくれさえすれば。
それさえもなくて、サンジは「やはり見限られたのだ」という思いを強くした。
城内のざわつきは日を追って増した。皆が妙に浮き足立っている。
どこからかの使者もたびたび訪れているようだ。新しい調度品が運び込まれ、花木が増やされ、二の丸御殿の一角が華やいでいる。
それについてギンやロビンは何も語ろうとしないが、自分の処遇が変わるのかもしれないとサンジは思った。
見限られた今、そうなってもおかしくはない。
この半年の間は、歪んだ形であろうと復讐であろうと、この身体に生かしておく価値があったのだ。
だがそれももう失われてしまったのかもしれない。
自分のことはいい。もとより死ぬはずだった人間だ。だがこの身体と引き換えに守ってきた玻璃はどうなるのだろう…。
不安と失意に揺れる心を落ち着かせたくて、サンジは茶室の使用を願い出た。
駄目で元々と思っていた願いだが、それはあっさり許可された。
庭へ降りぬこと、ロビンとギンの監視付きであること、決して目立たぬことなど幾つかの条件はあったが、道具も水屋もしばらくは自由に使ってよいとされた。
茶室は鳩との一件があった場所であるが、それ以上にサンジには故郷の玻璃の茶室に似ているという印象のほうが強かった。
昼に来れば障子窓からそそぐ柔かい光に心が和み、夜に来れば天窓から差し込む月の光に心が洗われた。
ある日夕暮れ時に訪れると、茶室は暮れる日の残照を障子紙に受けて、橙色に染まっていた。
点前席で静かに茶を点てていると、気持ちは自然に数年前に飛ぶ。かつて唯一度、ロロノアが玻璃城を訪れたことがあった。姉君が嫁いだベラミーの城を訪れた帰りに玻璃に寄ったのだ。
その時、夕餉の宴席までのひとときにと招いた茶席で亭主を務めたのはサンジだった。
今と同じように黄昏の日の中でぎこちない手つきで茶を服したゾロはあそこに座っていたな、と誰もいない空間をサンジは見つめる。
あの時自分の一挙一動をつぶさに見つめていた視線を思い出すと、身体の奥が疼いて熱を帯びる。
心を静めるために茶室に来たのに、俺は何をやってるんだ…。
そう思うが、灯された欲望はじりじりとサンジを焦がした。
ゾロ…。
もうあんな目で見てはくれないのだろうか。
サンジの手は自然と股間に伸びた。
男の証は、今は戒められていない。手のひらでそっと包み込んでゆるゆると擦れば、逆にこんな刺激が欲しいのではないと頭が否定してくる。
ではどんな刺激が欲しいのだ?
自らに問いかければ、突然脳がロロノアの口に含まれたことを再生し始めた。
同時に身体の細胞が、その刺激を呼び起こしてざわめきだす。
ぴちゃりと湿った舌が自分の敏感なところに触れ、熱い口内に包まれ…。
初めての口淫に逃げを打とうとしたところを押さえ込まれ…。
「あぁ…」
吐息とともにサンジは蜜を零し、そのぬめりを借りて手で包めば口内の柔かさに似る。
強く吸われたことを思い描きながらぬるつく竿を擦り上げれば、それはたちまちそそり立つ。
一気に高まった射精感に、出してはならないと、なけなしの理性で根元を握った時にはすでにわずかに零れていた。
「うっ、うっ、ああーーーーっ」
それでも無理矢理押さえ込んで、体内で暴れる熱にサンジはのたうち回った。
心の中で「出してしまえ」と声がする。
「もうロロノアはおまえなど見捨てたのだから、律儀に『女』でいる必要もない。出してしまえ」と声がする。
「それは裏切りだ。出してはならない」とまた別の声がする。
根元を握った手は結局離れることなく、熱の収まりまでサンジはただ耐えた。
熱が過ぎ、ようやく股間を押さえた手を離すと、わずかに零れた白濁液が手のひらを汚している。
それを袱紗(ふくさ)で拭うと、どっと疲労感に襲われた。やるせなさも手伝って、サンジは身体を起こすになれなかった。
橙色だった茶室は藤色に変わって、物の輪郭をおぼろげにさせている。
真昼の暑さが引いて、茶室は眠りを誘うのにちょうどよい室温だ。
とろとろとまどろむうちにサンジはそのまま眠りに落ちてしまった。
小一時間ほどののち、点前口の戸がそおっと横に引かれた。
2寸ほどの隙間から中をうかがったのはロビンだ。そして背後の影に囁く。
「眠ってしまっておいでです。どう致しましょう?」
「そのままで良い」
そう答えて、灯りがともされた油皿を自ら手にして入ってきたのはロロノアだった。
音を立てぬよう畳に足を滑らせ、横たわるサンジに近づき見下ろした。
絞りで染め抜かれた草花が所々に散らされた単衣の裾が乱れて紅絹が覗いている。その紅絹の肌着もやはり乱れて膝頭が見え隠れしている。
その傍にロロノアは静かに腰を下ろした。
そばに座ってもサンジから、いつもの香油の甘ったるい香りがしない。身体に香油を塗る女官も最近はいないことが多くて、湯上りのままだったのだ。
「この花は活けてもよろしいのでございますか?」
ギンが花のついた細い枝を両手に抱えて入ってきた。珍しくロロノアが山から取ってきた枝だ。青紫の小さな花弁に黄色い雄蕊が房のように沢山ついている。
「いい。そこへ置いておけ」
「花が散りやすいようですので水を揚げてやってください」
そう言ってギンは花の傍に水を張った鉢と花ばさみも置いていく。
花を活けることと縄を掛けることは、ギンに取っては同じ線上にある造形美らしい。
よくわからないが、確かにギンの活ける花もギンの縄に掛かったサンジも、どこか硬質な美があった。自分ではとても作り出せない世界だ。
ロロノアは、花ばさみを右手に、花枝を左手に取って苦笑した。どこにはさみを入れればいいのかさえ、わからない。
とりあえず根に近い部分をバチンと切って水を張った鉢に浸ける。
花ばさみの扱いにはコツがあって、知った者が使えば女性の力でも太い枝を切ることができる。反対にコツを知らずに力任せに断ち切ろうとすると細い枝でも相当力が要る。コツを知らぬロロノアは力に頼った断ち方だ。そのせいでバチンと派手な音がする。
「ん…」
サンジが身じろいだ。音に反応したのだ。
再び枝が切られる音がすると、身体をひくりと震わせる。
さらにバチンと音が続くと、何かうわごとをつぶやいた。
先ほどまでの穏やかな寝顔ではない。眉根を寄せ、苦しそうにうめきだした。
「…が!…ど…して……」
動揺したようなうわごとをつぶやきながら、サンジは首を振る。
脂汗を浮かべるその表情は苦渋に満ちていてロロノアは思わず、サンジを揺すった。
「どうした? 起きろ」
「…や…離せっ…」
サンジは覚醒せぬまま、ロロノアの手を振り払おうとやみくもに手を動かす。
「…離…せ…俺だけ……や…」
「おい、目ェ覚ませ」
がくがくと揺さぶると、うっすらと瞼が開く。
だが、その目はゾロを見ていない。目が開いただけで、サンジの意識は未だ夢の中なのだ。
その虚ろな瞳が吸い寄せられるように明るいほうを見つめ、灯りのともされた灯明皿を見た。
とたんにビクンと身体が跳ねた。
「…火がまだ…」
「おい?」
「火が…ダメだ…離せっ!…」
ロロノアの腕の中でサンジが暴れた。
「火の中にはまだ…! 俺だけ助かるなんてイヤだ! 離せッ、ジジィッ!! 」
激しい叫びとともにロロノアの身体が蹴り飛ばされた。
正気を失ったサンジの蹴りは、加減というものを知らず容赦が無い。派手に背中を打った。
それでも暴れるサンジを取り押さえようと夢中で覆いかぶさる。
「サンジ! 俺だ。てめェのじいさんじゃねェ。ゾロだ。正気に戻れ!」
ぺんぺんと頬を叩くと、一瞬瞳が収斂し、ゾロ?と問いかけた。
が、その瞳が大きく見開かれた。
「あ、あ、あぁっ…火が!」
え?
サンジの視線にはっと振り返ると、床から火が立ち上っていた。
蹴り飛ばされた拍子に、灯明皿をひっくり返したらしい。こぼれて広がった油に火が移って燃え上がっている。
ロロノアはすばやく着物を脱いだ。それを叩きつけるようにして消火する。最後は着物を覆いかぶせるようにして、用意されていた水をかけた。
気づくのが早かったせいで、幸い畳を焦がしただけで大事には至らなかった。
だが重症なのは畳よりサンジだ。
もともと白い顔が白を通り越して透き通るように青ざめている。それなのに、終始、火とロロノアから目を離せずにいて、かたかたと身体を震わせている。
「大丈夫だ。火は消えた」
無言のままサンジはコクコクとうなづく。
ためらいがちに手を差し出して、ロロノアの身体を確かめようとする。
「あぁ、俺も大丈夫だ」
それでもサンジは納得せずに首を振る。そしてロロノアの着物の裾を割ろうとした。
初めは何をしようとしているのかわからなかった。
だがサンジの震える指先がロロノアの足に伸ばされるのを見て理解した。
「大丈夫だ、足も壊れてねェよ」
そう言ってやると、サンジはがばっとロロノアの首にすがりついてきた。
嗚咽をかみ殺して激しく上下する胸の動きが、ロロノアの胸に伝わってくる。
「おい、わかってんのか? 俺は『ジジィ』じゃねェぞ。ロロノアだぞ」
わかっているというようにサンジはまた無言でうなづいて、ぎゅっとしがみつく。
幼い子供に戻ったかのような仕草に、ロロノアは思わず小さな頭を撫でた。背中をそっとさすってやった。
花の枝を切るパチンという音が、まどろむサンジには、火が爆ぜる音に聞こえたのに違いない。
幸せだった家族を一瞬で地獄に落とした忌まわしい出来事。
ロロノアが知っているサンジは、あんな怯えた表情を見せたこともあんな悲痛な声を出したこともない。
だがそれは、秘められていただけで、紛れもないサンジの過去なのだ。
『…こいつも俺と同じように、ベラミーに大事なものを奪われたのだ…』
ベラミーと同じ血の人間として嫌悪しようと努めてきたのに、こうして背中をさすっているとその憎しみが溶解していく。
そもそもその憎しみとて、自分の行動を、周囲と、何より自分自身に納得させるためのものでしかなかった。
そうなってしまえば、押し殺してきた感情が頭をもたげてくる。自分に身体を預けているこの存在が、どうにもいとおしい。
ロロノアはサンジの髪に口付けた。
「サンジ…」
耳元で囁くと、ゆっくりとサンジがロロノアの身体から離れた。
見詰めたその瞳に先ほどの虚ろさはなく、夜のとばりで瑠璃紺に見える青い瞳にはロロノアの姿が映っている。
ロロノアはたまらず口付けた。
「んっ…」
反射的に緊張したサンジの身体を抱いて、そのまま押し倒す。
紅絹の腰巻きの裾を性急に割り、手を差し入れるとビクンと身体が跳ねた。
逃れようともがくのを押さえつける。
「何故、逃げようとする?」
見詰め合った互いの瞳に、情欲が潜んでいることを、二人とも感じたはずだ。
唇を封じたまま片手で頭を掴み、もう片方の手をサンジの白い脚に滑らす。
「ゾロッ…」
サンジが悲鳴のような声を上げた。
「ダメだ、ゾロ! てめェにはもう決まった人がいるだろ!」
「は?」
「シャルリア嬢がいらっしゃるんだろ?」
「どうしてそれを!」
茶室と離れを行き来するうち、城を覆う騒々しさの原因がわかってきたのだ。
できるだけ人目につかぬよう行動していたため、聞く気のなかった情報も聞こえてきてしまう。
『…卿のお嬢様の……が…』
『お召し物だけで…個も葛篭(つづら)が届いたそうよ』
もれ聞こえる話をつなぎ合わせれば、簡単に内容はわかった。
不思議と動揺は無かった。見限られたと思ったせいでもあり、何かが変わるのだろうと予感していたせいでもある。
ただ、玻璃はどうなるのだろうとその懸念だけが強くなった。
「こんな山奥に嫁にいらっしゃるとはな。ずいぶん長く帰ってこねぇと思っていたら…。そりゃ、離れがたいよな」
「そうじゃねェ! 俺とあの女とは何も無ェ。ただあの女が都の残暑は厳しくて堪らないから涼しい山で過ごしてみたいと言っただけだ」
「随分と惚れられたもんだな」
「だから違うって言ってんだろ! 避暑なだけだ、夏の間の客なだけだ!」
「てめェには気が無くても、あちら様は本気だ。でなくちゃ、どうしてこんな山奥まで来る? 贅沢に慣れた殿上人がその暮らしを、たとえ夏の間だけだって捨てるなんて今まで聞いたことが無ェ。避暑なんて口実に決まってるじゃねェか」
サンジの言うとおりだった。
鳩がロロノアに同行してきたのも、実はそのためだ。チャルロス卿の指示はついでの用命でしかなく、霜月城がシャルリアが住まうに安全かを確かめるのが本命だった。
それでも…。
「それでも俺は、避暑に来た客人として扱う気しか無ェ」
これ以上この話はするなというように、何か言いかけたサンジの口をロロノアは己の唇で塞いだ。
だめだ…だめだ、ゾロ…
そう思うのに唇から注がれる情熱にサンジの身体は熱く燃えた。
ぐっと抱きしめられると、身体が歓喜に奮え、心臓が早鐘のように打ち始める。
ドキドキして息苦しい。
酸素を求めるように深く息を吸った。
『あぁ…ゾロの匂いだ…』
思わずロロノアを抱き返したいような衝動にかられた。
これを俺は待っていた。待ち望んだ体温が今ここにある…。
ロロノアの身体の重みだけでサンジは恍惚となった。
ロロノアのほうも、サンジの身体の隅々を味わおうとしている。いつもの荒々しさはなく、丁寧に。それでいて渇きを満たすように貪欲に。
胸の赤い実を食み、舌で転がす。脚への愛撫も再開された。
鋭い蹴りを放つサンジの脚には柔らかさはないが、内腿はすべらかで手にしっくりとする。
閉じ合わせようとした膝は簡単に割られ、ロロノアが身体をすべりこませてくる。
「っ…!!」
金の叢(くさむら)から男の形が取り出され先端を口に含まれた。
造形を確かめるように舌先が亀頭をねぶる。そのたびにサンジの身体がびくびくと震えた。
蜜が溢れる小さな孔を、舌先で広げるように突付かれて、サンジの身体が大きく仰け反った。官能が渦巻いて、その小さな孔の周りをじんじんと熱くする。鋭敏になりすぎて痛いほどだ。
『もっと…もっと……ゆっくり……』
サンジは心の中でそう願った。
次々襲いくる刺激に翻弄されて、我を忘れるのは嫌だ。誰に触れられているのかわからないような、狂った感覚は嫌だ。鳩の一件でそれを身にしみている。
その気持ちが通じたのか、ロロノアの愛撫はいつもより優しい。
大事なものを扱うように、手はそっとサンジを撫ぜ、鈴口を突付いた舌先は、もどかしいほどの丁寧さで敏感なくびれをなぞる。
身体が蕩けていった。
「ああ…」
ロロノアの怒張が挿入ってきたときには、もう声を抑えることなどできなかった。
色づいた声が唇から零れる。
刺激に反射した声でなく、満ち足りた官能の声だ。
ごめん、今だけ…
今だけゾロを俺にくれ…
君が来たら、もう望まないから…
サンジはまだ見ぬシャルリア嬢に心の中で何度も謝った。
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